2021.10.13
ブログ 【組織開発】意識改革から組織文化の改革へ

なぜ、意識改革が必要なのか
(1) 意識改革を必要とする背景
今、企業は拡大成長が望めない市場環境の中で最後の生き残りをかけた改革を急いでいます。ボーダーレスの大競争時代を生き残るために、企業は戦略を見直し、仕組みの再構築の真最中です。瀕死状態にある企業は背に腹を変えられずリストラの名のもと、大幅な人員削減を進めています。大企業の社員といえども安閑とはしていられなくなってきています。
日本的経営の三種の神器といわれた終身雇用、年功序列賃金、企業内労働組合も見直され始めました。また、厚生年金についても「自分の老後の生活保障」から「日本経済の発展に尽力してきた人たちの生活を支える」という発想の転換を強いられています。このような環境は外圧として社員の意識改革(自分の生活は自分で守る)を促進させています。
この状況は単に企業だけの問題ではありません。
遅かれ早かれ行政にも波及する問題です。企業の現場で実践されている意識改革の考え方、方法を紹介します。
(2) どう変わろうとしているのか
右肩上がりで横並びの時代、企業の社員は「依存」と「同質」のマインドに染め上げられてきました。この「依存」と「同質」の社員こそが経営効率を高める原動力になったのです。ところが現在、拡大成長が望めない市場では独創性のある商品、サ-ビスが求められます。個性的な企業でないと存在価値が認められないのです。
社員は「自立」と「個性」に向けて意識を改革することが迫られるようになってきました。当然、個性的な企業には個性のある経営者、社員が不可欠になります。
「自立」の条件は「自分の頭で考え、自分の心で判断し行動する」ということです。
右肩上がりの時代は「依存」のマインドを持った企業戦士が本社や上役の指示のもと、一丸となって頑張ってきました。いわば中央集権のほうが経営効率を上げることができました。
今のような変化が激しく、しかも成熟した市場では地方分権による経営のほうがお客様のニ-ズに敏速に対応できます。
お客様の関心はただひとつ、応対する人が「何をしてくれるのか、何をしてくれないのか」だけです。
お客様との接点で繰り広げられている応対のありようで企業全体の評価が決まってしまうのです。だからこそ自分で考え、判断、行動できる社員が求められます。
今、社員の個性化と自立化を促す意識改革が企業の最大のテ-マになっています。
意識改革を進めるための基本的な考え方
(1) 見えない部分を大事にする
右肩上がりの時代、企業活動では「見える部分」を重視してきました。つまり数量、金額など、数字やデ-タで表現できるものです。効率を追及するあまり、見えない部分は上手に手を抜くことも身につけました。 お客様からの信用を築く地道な努力や風通しの良い社風づくりなどの「見えない部分」は軽視されたといっても過言ではありません。社員は速効性のある実務知識とスキルが教育され、人間性を高める教育や「考え方」についての教育は疎かにされてきました。
右肩上がりで横並びの時代、日本人はモノでは豊かになったが、心の豊かさを得たかというと疑問が残ります。モノの豊かさと引き換えに失ったものがたくさんあります。
意識改革によって日本人が失ったものを取り戻す。
それは「見えない部分」です。
書家の相田みつをさんが「花を支える枝、枝を支える幹、幹を支える根、根は見えねんだなあ」という作品を残しています。
根とは「考え方」とか「生き方」の部分にあたります。
幹は行動、枝や花は結果です。意識改革によってこの根の見えない部分に光を当てたいですね。
(2) 意識が変われば行動が変わる
意識改革は一人ひとりの人間の豊かな人生を築くことにつながるという考え方があります。「意識が変われば行動が変わる、行動が変われば習慣が変わる、習慣が変われば人間性が変わる、人間性が変われば人生が変わる」という考え方でです。人間一人ひとりにとっていちばん大切なことは「幸せに生きる」ことです。つまり意識改革を人間の幸せを築く原点としています。
(3) 変わりたい人が変わる
意識改革は自分でやるしかない、という考え方です。他人に意識改革を強制されることはありません。
「自分自身を変えたい」という意思と意欲を持っている人だけが変わることができるのです。
(4) 知識の修得ではなく、実践で体得すること
意識改革の進め方の基本は陽明学にある「知行合一」をベースにしています。まず意識改革の大切さ、方法などを知識として学びます。意識改革で大事なことは「知識」を「実践」に転換することにあります。
従って「知識」の習得と日常での「実践」を交互にくり返します。
このくり返しを通じて「知識」から「知恵」、「知得」から「体得」に変わっていきます。

意識改革の具体的方法
①「自己開示」
ここで意識改革の具体的な三つの方法、「自己開示」「異体験」「内観」を紹介します。この方法は人間の成長にとって大事な「実践」と「内省」をベースに組み立てられています。
この方法は企業の現場で実践され効果が確認されているものです。
まず最初は「自己開示」です。
人は誰でも「自分をよく見せたい」という本能があります。だから日頃、他人に弱味を見せないもです。知らず知らずのうちに背伸びをして無理をしているかもしれません。自己開示の目的は弱い部分を含めた等身大の自分を他人に開示しながら自分を変化させていくことにあります。
「自己開示」によって自分の個性を自覚、自信を持つようになり、存在感が高まることにもなります。
個性がはっきりすると周囲からの風当たりが強くなりますが、その風に鍛えられて意識改革が進みます。「自己開示」の簡単な方法は、日頃の人間関係の中で子供の頃のこと、家族のこと、余暇の過ごし方、将来の夢などを自然体で語ることです。誰の心にもキズやシミがあるものです。それらも開示できる勇気を持ちたい。心のドアの把手は人の内側についていると言います。ドアを開けるかどうかはその人の意思に委ねられているのです。
こちらが先に心を開いてこそ、他人も心を開く、そして心の連帯が生まれていきます。
ある政令指定都市の研修で自己開示実習を継続的に行っています。
課長、部長といった幹部職員がお互いに心を開いて自分を物語る様子をみるとき私はいつも感動します。
②「異体験」
二番目の方法は「異体験」です。組織に属していると、組織が「たこ壷化」していることもあって、人の行動はパタ-ン化しやすいです。このパタ-ン化を猫化現象といっています。猫が猫道を通ることと同じだからです。猫道を通っていると安心感はありますが、行動のテリトリーが決まってしまいます。そうすると見る風景と出会う人間が固定化してきます。「異体験」は猫道から意識的に外れることです。猫道をそれて行動することにより、見たこともない新しい風景を見る、会ったことのない人たちと出会うことができます。
人は三つのことから学ぶといわれています。
第一は読書、第二は人間、第三は自然です。
異体験によってこの三つに出会うことができます。
「人生は出会いである」ということを実感できるはずです。
最近、企業の中で進めている異体験は「ボランティア」です。
「ボランティア」は文字通り「自発性」のことです。
「ボランティア」の場では上役の指示命令は存在しません。
自立の心を育て、異質な人間に出会う最高の場が「ボランティア」です。
この異体験は心の中の潜在意識に蓄積され、意識の新陳代謝を促進し、おのずから意識改革が進むようになります。
③「内観」
三番目の方法は「内観」です。「内観」というのは文字通り自分自身を内側から見つめることです。
一般的に物事がうまくいかない場合、自分に原因を求めず、他に求めて自分自身を納得させようとします。つまり「外観」になっていきます。
一方、「内観」は自分自身に原因を探ろうとすることです。
外側の原因は変えるのが難しいけれど、自分自身を変えることはできるという思想が「内観」にはあります。この「内観」は浄土真宗の修行から発展し、現在では専門家によって心理療法としての方法論が確立されています。「内観」はとても簡単な方法で実行できます。それはもの心がついた頃からの過去を積極的に思い出すだけです。時間のあるときに、幼稚園の頃の思い出、小学校低学年の頃の思い出、というふうに細切れに思い出すのです。
思い出そうと努力して思い出すことがポイントです。
私たちは日頃は忙しいので、子供時代の思い出は忘却の彼方に 押しやっているのが普通です。特に辛い思い出、悲しい思い出ほど、潜在意識の奥にしまいこんでいます。楽しい思い出も辛い思い出もありのままに思い出し、それを受け入れていきます。このように原体験を思い出すと、自分の人生の節目、節目に他人から大きな影響を受けていることがわかります。
「内観」を体験した人たちは口々に、一人で生きてきたのではなく、多くの人々に「生かされてきた」ことに気がついたと言います。そして現在の自分があるのは、両親、家族兄弟、先生、友人、同僚などのお陰だと思うようになります。
「内観」によって、このことを実感できた人は、すべての原点は自分にあることに気づきます。
そして周囲に感謝する気持ちに切り替わり、自分自身の存在を他人に役立てようとする意識に変わっていきます。
意識改革から組織文化の改革へ
(1)ミクロの改革からマクロの改革へ
大企業のような巨大組織にいると「私だけが頑張っても組織は変わらない」と思うかもしれません。組織論として「組織の実体は20人程度の対面小集団の連鎖である」という考え方があります。大組織といえども小組織の連合体だということです。多くの人はこのことを頭ではわかっています。しかしこのことを実感としてわかっている人は少ないです。最近、複雑系という物理学の新しい考え方が経営に持ち込まれています。この複雑系の中に「バタフライ効果」という考え方があります。比喩として「北京で蝶が羽ばたくと、ニューヨークでハリケ-ンが生じる」があげられています。
一つの職場の小さな改革があちこちの職場に波及し組織全体に影響を及ぼすのです。
(2)組織文化は人の意識の集合体
「人間は環境の動物である」という考え方があります。
これは人は「環境に支配される」ということを示しています。どんな職場でも人の行動に影響を与えるような独特な雰囲気や慣習があります。これを企業でいえば社風、組織風土、あるいは企業文化などといいます。これは役所も同じで職場によって独自の組織文化があるはずです。そして組織文化は一人ひとりの人間の意識、行動の集合体として捉えることができます。
「すべての原点は自分にある」と思います。
自分が変われば、周囲が変わっていきます。
自分自身の人間性が高まれば、周囲の人たちを感化していきます。
自分を変え、そして「足下、つまり自分のできることを変える」ことが改革の原点になるはずです。
一人ひとりの社員が意識改革をして行動を変えていけば、組織文化も変わっていくことになります。

【本気・本音・本当】
厳しい経営環境を乗り切るため、多くの企業が営業戦略を変える、あるいは情報システムを刷新するといった改革を実施しています。しかし、その戦略に基づいて行動したり、情報システムを活用する現場の社員の意識が変わらず、改革が進まないケースが後を絶ちません。なぜ社員の意識は変わらないのでしょうか。変えるためにはどうすればいいのでしょうか。社員の意識改革を促すために不可欠なものとして、「本気」 「本音」 「本当」 という3つのキーワードがあります。改革において、現場の社員に行動を起こさせるには、
(1)部下にコミットメント(約束)を求めるのではなく、経営層こそが部下の要望に対してコミットメントを与え、「本気」であることを示す。
(2)建前だけの空疎な議論を繰り返すのではなく、真の問題を浮かび上がらせるために「本音」で語り合う場を組織的に作る。
(3)部下の進ちょくを報告させるばかりでなく、経営の進ちょくを現場に見せることで、社内の「本当」の姿を周知させる。
なかでも、もっとも基本になる「本気」の部分について、解説します。
【「上」から「下」のコミットメントが必要】
「本気」とは、コミットメント、すなわち、約束をすることです。何となく「売り上げを増やそう」と言うのではなく、「今年度末までに、20%売り上げを必ず増やす」といった形で、期限と具体的な目標(多くの場合は数値)を含めたコミットメントがないと、なかなか実際の行動につながらないし、意識は変わりません。
コミットメント自体は至極当たり前のことですが、実際に日本の企業でこれがどこまで浸透しているでしょうか。
確かに、人事評価のための目標設定で「私は新規顧客を100件開拓します」と宣言するなど、部下が上司に対して約束するケースは多いです。売り上げのノルマや,納期の厳守といったものもこの部類で、「下」から「上」へのコミットメントは、案外浸透しているように思われます。
一方で、経営陣や上司が部下に対して、つまり「上」から「下」に対して何かを約束することはあまり多くありません。不調な企業ほど、売り上げノルマを達成できない社員は容赦なくリストラされるのに、経営者は赤字が続いても責任をとることもなく、居座っているのではないでしょうか。
改革では,業務の現場にいる社員は多大な努力と犠牲を強いられます。
一方で,経営陣だけが何の責任も取らないのでは、社員のやる気も出てきません。
日産自動車のカルロス・ゴーン社長は、就任した1999年に「黒字化」「売上高営業利益率」「有利子負債削減」の数値目標を期限付きで約束し、達成できない場合の辞任を明言しました。結果的には1年前倒しで目標を達成しました。努力には報いるというのも重要なコミットメントです。
経営改革に成功した企業では、「上」から「下」へのコミットメントを制度化していることが多いです。例えば,東京都内の観光で有名な‘はとバス(本社東京)’では、バスガイドや運転手など現場の社員から年100件ある改善提案のすべてに社長が目を通し、月2回の会議で改善策を実施するかどうかを決める制度があります。実施しない場合でも必ずできない理由を説明することになっており、決定内容は掲示などで社内に広く知らされています。
GEグループの2社も「ワークアウト」と呼ばれる会議手法が定着しています。「スポンサー(その問題について権限をもった役員など)」と「メンバー(現場の社員)」の役割が明確に分かれているのが特徴です。メンバーは議論を行い、問題に対する改善策を練るが、そこにスポンサーは介入しません。
しかし最後に、スポンサーはメンバーから改善策の提案を受け、その場で承認するか、拒否するか、検討を要する場合はどんな情報が必要なのかを明言しなければなりません。「上司ばかりがよくしゃべるが、結局何も決まらないまま終わる」といった会議とは対極にあるものです。
【まずは自部署の小さなコミットメントから】
もっとシンプルな例もあります。
全社的な意識改革運動を進めている総合人材サービスのインテリジェンスでは、社員の生産性向上に取り組んでいます。具体的には、残業を減らすため、マネジャーが自部署で残業をしないと決めた日には、周りの部署にも電子メールで「今日は残業をしない」と宣言するルールにしました。残業なしを実現できなかったら周りの部署から一目で分かるので、マネジャーは、何とか自部署の仕事を早く終らせようとするわけです。
ゴーン氏のような社長を連れてくることはすぐにはできないだろうが、こうした手法は比較的簡単に実践できるはずです。
「うちの社長は責任を取らないからダメだ」と嘆いていても何も始まりません。部下を持つ立場にいらっしゃる方は、まずは、自分が担当する部署内限定の小さなコミットメントから手がけてみてはいかがでしょうか。
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